第十章-後編-
◆第十章『孤独の淵で-後編-』
「っは……っは……」
今しがた落下してきた巨大な瓦礫を前に息を弾ませる。
……じわり。その下から血が広がって。
結局、助けられなかった。
「きゃあぁあっ!」
遠く聞こえた悲鳴に瞼をぎゅっと瞑った。
耳を塞いで、何処か静かな場所で誰よりも安全に。そうすることで何もかも穏便におさまってまたいつもの日常に戻れたならどんなに幸せだったことだろう。
でも。そんなこと、叶うはずもなくて。
――さっきの場所より被害が激減している。進めば進むほど、これはどうしたことだろうか。繰り返す淡々とした作業に飽きてきたのか? だとしたら好都合だが、でもそれは逆に彼らがこの世界をその程度にしか見ていなかったということ。
まるで子供がジオラマに玩具箱をひっくり返したみたいだな。
本当にその程度だったのかな。思えば思うほど痛む。だって俺にはこの世界、何処にも嘘はないように映っていたんだよ。作り物なんかじゃないって。
「……皆」
皆は大丈夫だろうか。
だけど後戻りはもうできない。
「っ、」
……その証拠に、ほら。