第十章-前編-
――バックドラフト。
室内など密閉された空間で火災が生じ不完全燃焼によって火の勢いが衰え、可燃性の一酸化炭素ガスが溜まった状態の時に窓やドアを開くなどの行動をすると、熱された一酸化炭素に急速に酸素が取り込まれて結びつき、二酸化炭素への化学反応が急激に進み爆発を引き起こすといった現象(某万能辞書より引用)。
「……それを早く言え」
「考えてなかったのかよ!」
成る程確かに火の勢いは衰えつつある。
「勉強になったな」
「次で生かせない可能性があるのですがそれは」
全く以ってこの世界は。
「……あってめ、クッパ!」
「我が輩は知らん!」
「お前なんで大魔王なんだ!?」
沢山の物語が枝分かれして、交差して。
「うわっバカ今扉を開けんな――」
溢れて。
「ぎゃあぁあああ!?」
分かるよ。
この世界は皆の世界だ。
失いたくない。
今までもこれからも。
ラディス。
――待ってて。