第十章-前編-
僕は“嘘”が嫌いだった。……大嫌いだった。
この世界は――どうだろう。
何が本当で何が嘘なのか僕にはやっぱり分からない。きっともう何処かで騙されているのかもしれない。
でも、それでも。
「ロイ」
教えてもらったんだ、皆がそうしているように。
「僕たちも行こう」
信じることをやめたくない――!
「……ああ」
マルスは剣を手に取って立ち上がると軽く振るって鞘に納めた。
と、派手な爆発音が響いて赤々とした景色に硬直。
「思ったんだけど、こんな事して大丈夫?」
室内に設置されていた機械は殆どが壊され炎上している。
「俺たちには不要なものだ」
「そうじゃなくて」
じゃあ何だよと言いたげに振り返ったクレシスにマルスはぽつりと。
「バックドラフトって知ってる?」