第十章-前編-
「……信じてみねえか」
ファルコはぽつりと言った。
「あいつが俺たちにしてくれたように」
――フォックス。
「……でも」
「でもじゃねえ」
「だって!」
ファルコはくっと奥歯を噛み締める。
「だってじゃねえ!」
手が差し出された。
「こういう時だけへたれやがって!……立てよフォックス!」
叫ぶ。
「確かに俺たちは『ゲームのキャラクター』だったかもしんねえ。けどどの瞬間も俺にはあいつらの言う当然や必然には見えなかった」
……響く。
「だから分かる!」
声が。
「お前はこんなところで終わる奴じゃねえ!」
――想いが。
「……ふ、は」
じわりと視界が滲んだ。