第十章-前編-
……足手まとい。
「思い切りがいいね。惚れ惚れしちゃう」
よっこいしょ、と起き上がるカービィを尻目にひと睨み。
クッパが再確認の為、口を開きかけたその時、ガノンドロフが手を翳し紫の閃光を走らせた。刹那遠くの機械が爆発を起こして炎上。それまで俯いて放心気味だったゼルダはビクッと肩を跳ねさせた。
「……リンク」
私にはどうしても理解できなかった。
どんなに悲惨でも、運命は継いできた意志と共にある誇りだと思っていたから。
でも、ようやく分かった気がする。
「最初からそうであると決めつけられた運命なんて」
ゼルダは手のひらに黄金の光を宿す。
「――ふざけないでください、ですよね」
運命は変えられる。
「……兄さん」
「マリオ」
ルイージとピーチが口々に呼びかける、当の本人には迷いがあった。
影を差して黙り込む。――あの時右腕を捥がれた痛みが、恐怖が抜けない。あんな思いをもう一度繰り返すくらいなら。
万が一にでも命を失うリスクがあるのだとしたら。