第十章-前編-



……俺は。

あいつじゃない。あいつとは、違う。


初めから恵まれていたわけでも。

優しかったわけでもない。


対照的だった。


「っ、」

だから分かる。……俺には分かる。

その『絶望』がただの思い込みでしかないという事実を。


ラディス。お前は言ったよな。皆を頼む、って。

……それはどういう意味だった?


俺は、お前じゃない。お前とは違う。

ごめんな。


お前みたいに、誰かに優しくは出来ねえよ。


「……、」

赤い飛沫が舞った。

「え」

差し向けられた剣に怯みを誘われて、ひと呼吸。

クレシスの、躊躇の無くした薙ぎ払いによってカービィは。


胸部に大きな傷を迎えた。
 
 
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