第二章
「大した奴だぜ」
その声に、ラディスははっとそちらを見遣った。先程対戦したファルコである。
「この俺を負かすたぁな」
「あれは度肝を抜かれたよ」
フォックスが続けると、ラディスは急に気恥ずかしくなったのか苦笑にも似た笑みを浮かべて。――そう。彼は勝ったのだ。
「どうやったんだ?」
興味深そうに訊ねるフォックスに、ラディスは発言を躊躇って。言えないのではなく、上手く説明が出来ないのである。
「簡単なことだろ」
ここで救世主、クレシスの登場。
「跳ね返された電撃を右足に集中させて、蹴りと同時に相手の体内に流し込む」
「うっわ、マジかよ」
ファルコの口から思わずそんな声が洩れた。考えてもみれば恐ろしい話である。
「で、遠隔操作で筋肉を伸縮させ、体の自由を奪ったってこと。空中だったからな」
「……成る程」
フォックスはようやく理解して。