第二章
「くっ」
跳ね返された稲妻のお蔭で体力は殆ど持っていかれたはずなのに、ラディスは直撃を受けても尚、此方へと向かってくる。
慌てて拳銃を構え直すが、踏み込んだラディスの蹴りによって宙に弾かれ、ファルコは舌打ち、得意の回し蹴りを繰り出して。
が、ラディスは身を屈めて躱す。
――そうだ。奴は“稲妻の直撃を受けた”のに、どうしてまだ立っていられる?
「っ……まさ、か」
冗談だろ。利用したってのかよ。
跳ね返された稲妻を受ける直前に微量の放電、磁石のように反発させて自分の体の外側に留め、それを一ヶ所に集中させて……
「さすがのそいつも」
ラディスはふっと笑みを溢す。
「こればっかりは跳ね返せないだろ?」
次に蹴りを繰り出した右足にはぞっとする量の電気を帯びていて、目に見えて青く輝くそれに、ファルコは目を奪われた。