第二章



「くっ」

跳ね返された稲妻のお蔭で体力は殆ど持っていかれたはずなのに、ラディスは直撃を受けても尚、此方へと向かってくる。

慌てて拳銃を構え直すが、踏み込んだラディスの蹴りによって宙に弾かれ、ファルコは舌打ち、得意の回し蹴りを繰り出して。

が、ラディスは身を屈めて躱す。


――そうだ。奴は“稲妻の直撃を受けた”のに、どうしてまだ立っていられる?


「っ……まさ、か」

冗談だろ。利用したってのかよ。

跳ね返された稲妻を受ける直前に微量の放電、磁石のように反発させて自分の体の外側に留め、それを一ヶ所に集中させて……

「さすがのそいつも」

ラディスはふっと笑みを溢す。

「こればっかりは跳ね返せないだろ?」

次に蹴りを繰り出した右足にはぞっとする量の電気を帯びていて、目に見えて青く輝くそれに、ファルコは目を奪われた。
 
 
32/66ページ
スキ