第一章
「じゃあ、次から気を付けて!」
「あのっ」
ラディスも先程の青年と同様、片手を軽く挙げてから慌ただしく駆け出して。
それにしても、こんなに時間を食ってしまって大丈夫だろうか。子供を助けた場所からエアポートまでは幸いにも遠くなかったが、森を抜けた直後に見えたものは。
「……あ」
キィン、と独特の音を響かせて飛び立つ、飛行機の姿――ラディスが急いで乗ろうとしていた飛行機は、今しがた、しかも目の前で発進してしまったのだ。
「あー……」
何から反省するべきか。やっぱり、昨日見たい映画があったからと夜更かしをしてしまったことだろうか……と、ジャケットを羽織りながら呑気にも反省会。
「てめえ、何処行ってたんだ!」
「悪い悪い」
声に釣られて振り返ると、二機の小型航空機を見つけた。その内の一機のハッチを開き、乗り込んだのは先程の青年である。