第十章-前編-
――今の揺れは。
「ラディス!」
窓の外を凝視していたその時、子供たちが叫んだ。
戻ってきた。クレシスは慌てて振り返る。
「お前っ」
呼吸が弾んでいる。今の揺れで駆け上がってきたのだろう。
「っ……は、外は……」
「分からない。今、リンクをモニタールームに向かわせている」
ラディスは唾を飲み込み息を吐き出した。
「はあっ……そ、そうか……」
バタン、と扉が閉まる。
「……お前、フォックス達はどうした」
不自然に音が途絶えた気がした。
「ラディス?」
「双子と接触した」
遮るようにラディスは告げる。
「けど、逃げられた。あの揺れは多分、彼らによるものだ」
「っまさか、空間を移動したのか!?」
ラディスは頷いて、
「事態は一刻を要する。まずは各地に散らばっているメンバーを集合させてくれ」
……現地に向かわせるんじゃ、ないのか?
「分かった、リンクに伝えてくる!」
「あたしも行きましゅ!」
ばたばたと子供たちが忙しく駆けていくのを見送った後で、クレシスはゆっくりとラディスを見た。……いつもと様子が違う、気がする。