第十章-前編-
光を絶たれ、暗く影を差し、濁る。
世界に。これまで触れてきた全てに絶望した目。
……こんな。これが。
未来を願って拳をぶつけた仲間の目なのか――?
それが決して、望んだ結末ではない。
分かってるはずなんだ。
なのにどうしよう。何も見つからない。絶望に沈んだ彼らになんと声をかければ、取り戻せる。誇り高き戦士として手を取り合った彼らと、もう一度。
……瞼の裏に浮かんだ景色が、遠ざかった。
「ッッ!?」
まるで部屋全体を揺すられているかのような地響きだった。
大きくよろめいたが、何とか踏み止まる。レイアーゼは空に浮かぶ都市。他の国と孤立している。この揺れは……地震じゃない。近辺で何かあった証拠――
「み、っ」
言葉を呑んで躊躇った。
今の揺れに対して、誰も顔を上げようとはしなかったのだ。
……そういうことなんだよな。
駆け出し、扉に飛びつくのと同時に二回目の揺れがラディス達を襲った。
ラディスは一度振り返って。
眉を顰めて目を瞑り、飛び出した。