第十章-前編-
「僕たち『ゲームのキャラクター』だったんだよ?」
カービィは自嘲気味に語る。
「今までの人生、全てを否定された。あんたの全ては作り物だったんだよって」
「そんなの関係ないじゃないか!」
踏み出し、胸に手を置いて訴えかける。
「作り物なんかじゃない、俺たちは確かに生きて戦ってきた、そ」
「勝手なことばかり言わないでよ!」
カービィは右腕を打ち払って睨みつけた。
「いつもいつも! 独り善がりで解決した気になって!」
目尻には涙を浮かばせて、
「考えろよ、迷惑なんだって!」
嘆きの声が寂しく響く。
「本当に人の幸せを願うなら放っといてよ! 僕は、もう……もう……」
大切だったんだ。
“彼ら”と過ごした日々は。
僕の運命に巻き込みさえしなければ――
「俺も降りるわ」
ぽつりと呟いたのは、マリオ。
「逆らったところで何処までがシナリオか分かりゃしない」
「ち、ちょっと待ってく」
「それが賢明じゃないかな」
続けたルイージをラディスは慌てて振り返った。