第九章
一体、何を――
目を見張らせている間に閉じた瞼が青白い光を持って開かれ、向けられた。右手が持ち上がる、その最中ではっとルイージを見たマリオが駆け出し、屈み込んだ彼の腕を引っ張って起こし突き飛ばす。
「賢明な判断だな」
ふっと笑ってマスターは、人差し指と中指を揃えて下から上へと引いた。
「っ、な」
その刹那マリオの体にぼんやりと青白い光が灯り、両手両足は空を掻いて彼の体が宙に持ち上がる。ゆっくり、ゆっくりと――見上げて、ルイージは叫ぶ。
「兄さんっ!」
ファルコは迷わず銃を構える。
「てめえ何のつもりだ!」
「二度も言わせるな。言葉の通りだ」
返して人差し指をマリオに向け、すっと左に払う。
「っぐ」
本人の意思とは関係なく、マリオの右腕は横に払い固定されて。
「おいマスター!」
焦りが募る。
「忘れるなよ」
手の甲を上に右手を翳して、マスターはマリオを瞳に閉じ込めた。
「ぁ、あッ」
マリオの右腕の付け根がきりきりと絞まっていく。
「兄さん!」
「やめてくれマスター!」
「……これが」
きりきりと。
「やっ、」
ファルコは叫んだ。
「やめろおおおお!」
声、虚しく。
「神の意志に逆らうということだ」
その拳はくっと、握られる――