第九章



誰のものとも分からない、

「言ったよね。ゲムヲのゲーム機が壊れたんだって」

心臓の音が鳴り響いている。

「ゲムヲはゲームの世界のキャラクターだからゲーム機が壊れればデータの消失と共に彼自身も消えるんだって思ってた。でもそうはならなかった」

カービィは淡々と話を進めていく。

「それってさ――」
「やめろっつってんだろ!」 


しん、と辺りが静まり返った。


「あっはははは!」

掻き切るように笑い声。

「そうだよそれで大正解!」

追い討ちを、かけるように。

「あんたたちはただの人間じゃない、特殊なんだ。実際のゲームに搭載されていたデータを参考に、表に出回っていないコアな設定まで精密に作り込んでる。特殊な修正プログラムが組み込まれてるからね、浅い傷なら一日と経たずに完治するし、逆に例えば生死に関わるような致命傷だって兄さんならすぐに治せる」

マリオははっとした。

「やっぱり……」
「うん?」
「クレシスの傷は」

ふふっと小さく吹き出したのはマスターである。

「なんだ、あれのことか。察しがいいな」
 
 
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