第二章
ファルコが触れたのは、腰に備え付けてあった小型装置。それは彼の目の前に六角形の青みを帯びたバリアを造り出すと、突進してきた稲妻を空に向かって跳ね返した。
「うわ……」
跳ね返された稲妻は、より一層強い光と速度を持って空の彼方へと飛んでいく。
ラディスは思わず声を洩らして。
「察しの通り」
はっと顔を向けた時にはファルコはもうすぐそこまで接近していて、ラディスは繰り出された蹴りをすかさず腕で受け止めた。
「あれはどんな飛び道具も跳ね返す」
ラディスは蹴りを一旦横に流すと、後ろに跳び退いて。……よく出来た玩具だ。
「面白いじゃないか」
「腕の良いメカニックがいるんでな」
再び、ファルコが駆け出す。
――全く。あっちではどんな顔をして観戦しているのか。ラディスは小さく息を洩らす。……体力にもあまり余裕がない。