第九章
――その瞬間、弾けた。
「ラディス!?」
無我夢中のまま駆け出して。
「はあっ、はあっ」
廊下を走り目的の場所へ飛び込んだ。
「確か、ここに……!」
曖昧な記憶を頼りにしながら、自分でも驚くくらい雑な漁り方で。
……見つけ出す。
「あった……」
「お、ラディス。なに探して」
通りかかったロイが声をかけるがまた部屋を飛び出し、駆ける。
「うわっ」
衝突を躱してその背中を見送り、ぽつりと。
「……何だったんだ?」
息を弾ませ戻ってきたラディスに誰も驚いた顔をして注目した。
「急に飛び出してどうしたの」
「こ、これ……」
片膝に手を付いて俯いた姿勢のまま、もう一方の手で差し出す。
「これを、見てほしい」
――その手に握られていたのは。
「……紙?」