第九章



ああ見えて、団体行動をあまり得意としない彼だ。その彼が珍しく子供組と行動を共にしているのも、万が一を踏まえてのことなのだろう。

ま、その“万が一”こそ起こってしまえばこちら側の手間が省けるのだが。それこそとんでもない高望みで結果、誰かしら被害が及んでしまうのであれば結局は、此方から探し当てて接触した方が断然良いのだろうが。


……被害、か。

次に会った時彼らがどう出るのか。


「ちゃんと探してる?」

ひょいと後ろからカービィに覗き込まれて、

「あっああ! もちろん!?」

大袈裟に肩を跳ねてぎこちなく返す。

「ほ、ん、と、う、に……?」

一字一字区切りながら、ずいずいと。

「うっ疑い過ぎじゃないかカービィ」
「とんでもない。こっちが一生懸命探してんのにサボられちゃたまらないからね」
「いやぁ、あははっ……」

次の瞬間カービィは首後ろの襟を掴まれ、ぐいと引かれて。

「はいはいその辺にしておけ」

……救世主の登場にほっとひと息。

それにしても。子供組が四人とカービィ、フォックス、自分の計七人。それがこの狭い部屋をどれだけ漁っても何も出てこない。

おかしいとは言い過ぎだろうか。いやいや、何も本人らが出てこないと嘆いているのではなく、手掛かりひとつ掴めないのがこう何となく。引っかかるというか。

「……ラディス?」
 
 
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