第九章
自分で言うのも何だが、それほど賢くはない。
だからそろそろのこと混乱して考えるのを放棄するはずなのだが、これがどうして頭は妙にすっきりしているしまるで絡まっていた糸が解けたかのようだ。
――そうか。そうだったな、と。
「君がマスターに関する死の可能性(フラグ)を破壊することでマスターはその身を滅ぼさず神力を得、元在った身体のまま転生を……」
全てを信じるその前提で、話の続きを恐る恐ると口にする。
「それでも俺には分からない。マスターは神に成れたのだとしても、君は」
「分からないなぁ。どうして分からないのか」
けらけらと笑ったその人はさも当たり前かのように告げるのだ。
「だってさぁ。双子の兄弟だよ?」
思い出す。
「僕たちは二人でひとつ。いつだって同じで何ひとつ変わらない」
“クレイジー”。
「兄さんが神様になれるのなら、僕だって」
示される意味は狂気。
「分かる? そういう仕組み、運命。必然、且つ当然なんだよ」
――その名を与えられるわけだ。
「質問は終わった?」
一度瞬きをした程度だった。
「っ、」
目の前に――