第九章
「……兄さん」
僕は一緒の布団に包まって聞いた。
「実験が失敗して、僕が死んじゃったら……どうする?」
兄さんは案の定怪訝そうに見つめ返してきたけど、問い詰めなかった。
「……俺はお前とは違う」
「どういう意味だよ」
「じゃあお前だったらどうする」
僕は少し考えて、
「……兄さんが死んだら僕も死ぬ」
「なら違うな」
兄さんははっきりと言った。
「俺はそんなことしない」
「む……悪かったな。死に急ぎ野郎で」
「誰もそこまで言ってないだろう。話は最後まで聞け」
いいか、と区切って兄さんは言った。
「お前は俺が死なせない。神様になって現世に呼び戻す」
――その瞬間、泣きそうになった。
「……うん」
僕はこの人のもので、この人は僕のものなんだって――