第八章



「……マスター」

ラディスはぽつりとその名を口にする。

「何処まで信じればいい?」

そろそろと上げた視線をおもむろに寄越して。

「神様とか、理想の世界の創造とか」

頭の中がこんがらがってしまう。


何が、何処まで――?


「お前は」

マスターは口を開いた。

「それを知ってどうするつもりだ」
「助けるさ! 可能な限り、力になりたい」

……目を細める。

「当たり前じゃないか、だって」
「こればかりはいい加減聞き飽きてしまったな」

ラディスは思わず口を噤んだ。

「お前の行為を誰かが受け入れてきたのは、それが頼りで救いだったからだ」

さあっと風が吹き抜ける。

「……俺たちは違う」
「どうして」

マスターはその先の発言を待たずに続けた。

「迷惑だ。自覚しろ」
 
 
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