第八章
――冷たい風が吹き抜けて。
思わず閉じてしまった瞼をそっと開くと、そこには広大な空が広がっていた。
天空大都市レイアーゼの切れ目。こんな気分と天気ではいくら初めて訪れたにしても感動が半減である。そうだとしてもこの広い空と海、所々で窺える大地にはただ目を奪われ、息をつくものがある。
ここからでは見渡せないようなまだ見ぬ世界が、この裏側には広がっている。
俺は、守れるだろうか。
何処まで戦うことが出来るのだろう。
「先客いたんだ」
聞き覚えはあるが一致しない口調にラディスははっと振り向いた。
「……あ」
小さく、声が洩れて。
「見当たらないかと思えば」
従来のラディスの目的である対象の男は変わらない口振りで言った。
「何をしている。こんな所で」
――ああ、どうしよう。
胸がざわつく。
「……探していた」
そう、声が洩れたのは。
「探していたんだ。お前を、ずっと」
数秒の間をあけてようやくのことだった。