第二章



「相手は?」

そう訊ねると、フォックスは親指である人物をさした。ぐいと汗を拭い、特徴的な赤い帽子を被り直した男、マリオである。

「あっちの方が一枚上手だったよ」
「成る程。詮索はしないさ」

それを聞くとフォックスも何となく安心したのか、口元に笑みを浮かべて。

「そういえば、お前」

自分が質問ばかりしたが故に、フォックスは食事の途中で席を立たなければならなくなった。ラディスはそれを気にかけていたのだ。試合の直後だ、腹も空くだろう。

「ああ、構わないさ」

フォックスはふっと笑って。

「……見ていたいんだよ。ここから先の戦いは、本物なんだ。もちろん、今までが偽物だったわけじゃない。……でも」

彼は楽しんでいるようだった。

「上を目指した、本当に強い奴だけが勝ち残る戦い。気になると思わないか?」
 
 
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