第八章



……それは。

俄には信じがたい、だけど。

「本当なのか?」


紛れもない真実だった。


「……ラグナの町」

小さく頷いたゲムヲは程なくしてそう話を切り出した。

「戦争、終わった頃……」
「それって――」

ロイが思わず口を開いたところ、腕を差し出し遮ったのはクレシスである。

「……うん」


地上界に存在するラグナの町が繁栄し、その後戦争で滅んだのは――何年、何十年なんて可愛いものではない。もう何百年と昔の話である。

彼の言っていることが本当に正しいのだとすれば、


「……いや、違う」

クレシスはぽつりと呟いた。

「何百年も昔から生きていたなんてのは然して問題じゃない」
「いやいやいや大問題っしょ」
「元より奴の種族を聞いてなければ嘘をつかれたわけでもないからな。……それにカービィ。お前だって種族、年齢共に不詳だろ」
「僕はミステリアス設定だからいーのっ」

呆れ、小さく溜め息がこぼれた。――そんなことはどうだっていい。


こいつはそれ以上のことを“隠している”。重要な情報であるにも関わらず、だ。

何を躊躇する必要がある?
 
 
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