第八章
声が、遠退いていく。
ぴしぴしと音を上げて何かがひび割れていくような、そんな感覚の中で。
――懐かしい景色が映し出された。
「……、」
彼は泣いているのだろうか。
ある日を境に、僕に触れるのは彼だけになった。光差さない暗い瞳でぼうっと画面を見つめ、スコアが表示される度に皺を寄せていたのを覚えている。
あれからどのくらいの時間が経っただろう。
君はいつになったら目を覚ますの。
また遊んでよ。
「……マスター」
その瞬間。
パァンと頭の中で何かが弾けた。
「思い、出した……」
ぽつりと口を開いたゲムヲにたった今触れようと手を伸ばしていたマルスは小さく目を開いた。――何も起こらない? だって、あのゲーム機は確かに。
「僕……」
ゲムヲは続けて口を走らせる。
「ずっと昔に――マスターに会ったことがある」