第八章



クレシスは目を丸くしたが、がっつくような真似はしなかった。

「ぶっちゃけそれだけ。詳しくは聞かなかったんだよね」

落胆はしない。予想を上回ることも下回ることもないその発言は、言ってみれば当然だった。もしもこの未来を予測できたならもう少し彼を知っていただろうが。

「……、」

そういえば――

マリオとルイージが喧嘩をした時、仲裁に入ったのは彼だった。

喧嘩といっても些細なもので、それこそ半日もすればどうでもよくなるような事柄だったがあの時はマスターがルイージの味方について譲らず、論破されたマリオが仏頂面で謝る羽目になったんだったっけな。


――いたみたいだよ。


「カービィ」
「なに?」
「いたみたい、というのは……」

沈黙。

「……あ、本当」
「過去形ということは、もういない……?」
「ち、ちょっと待ったストップ。フォックス、じゃないその中の奴って確か」


兄さん――


「あはは……何それ。冗談……」
 
 
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