第八章
……え?
「いつもいつも部屋ん中閉じこもって、得体の知れない研究繰り返して」
「ファルコ……」
「素性が知れないのは奴だけじゃねえか! そうだよ、あいつが一番」
ぎり、と奥歯を噛み締めて。
「あいつが一番怪し」
「ファルコ!」
叫んだのは――ラディスだった。
「……やめないか」
こんなことに、なるなんて。
「そうやって仲間を疑うのは」
「仲間、だあ?」
「ちょっとやめなよ」
睨みつけるファルコを宥めるように、ルイージ。
「あいつは仲間じゃねえ、単なる同居人だ。戦場の味も知らねえ、上の連中と同じのうのうと指示を出すだけの人間をテメーは仲間だって抜かすのか」
「譲らない。それでも彼は戦士である俺たちの一番近くにいた」
「ッいい加減にしやがれこのお人好し!」
「なら俺は分からず屋と返そう」
双方引かない口論に溜め息をついたのはクレシスである。
「……同意だ」
ラディスはぱっと振り返る。
「お前じゃない」
「えっ?」
溜め息、もう一度。
「……俺たちもこれ以上奴を庇いきれないってことだ」