第八章
あれは何だったんだろう――
事件は無事解決した。拘束され、連行されたハゼルが次々と仲間内の居場所を口にしたのだ。拷問の余地もなく。酷く怯えたかの様子で、ぺらぺらと。
それもそうだろうとあの場に居合わせた三人は口を噤んだ。確かにゴーストタイプのポケモンだったが、だからこそ何度殺されたか。恐怖が連なり精神崩壊、いくら心身共に歪んでいたにしてもあの有り様では無理もない話だろう。
何せ、警察が到着した頃にはハゼルも肉体の再生を終えていて、鮮血にさえ目を伏せれば何が起こったのかまるで分からないといった光景そのものだった。
――あ……ぁ、あ……
警官を目にしたハゼルが第一に発したのはまるで縋りつくようなか細い声で。
「っ、」
思い出しただけでも吐き気が襲ってくる。
「ラディス」
――四人は屋敷に戻ってきていた。
いや、その内の一人に関しては強制連行といったところか。
「大丈夫かい?」
「俺は……、それより」
部屋から顔を覗かせたルイージは酷く沈んだ様子で頷き、促した。
「……入っていいよ」