第七章



何だろう。気持ち悪い。

視界に映し出された映像にノイズ。辺りは暗闇と共に不穏な空気が渦巻いて。

突如として闇を掻っ切るようにして現れる金色の閃光。それは遥か遠く、暗闇の先にある赤黒い光を灯した塊へ。物凄い速度で突っ込んでいく。


……そして。


はっと目を開いて、飛び起きる。

病的に青白く変化した肌には汗が滲んで、体中に響き渡る心臓の鼓動はいつもよりずっと速い。息を弾ませていると突如強烈な吐き気が襲って口を両手で押さえ込み目尻には涙を浮かばせて。ガクガクと震えながら、うずくまる。

「……ユウ?」

けほけほと咳き込む声は確かに聞こえづらいものであったが、それでも隣で眠っていたドンキーだけは異変に気付いた。起き上がり、優しく背中を摩る。

「っ、ふ……は……」

――症状はそれ以上悪化するでもなくすぐに治まった。

「落ち着いた?」

ユウは小さく頷いて応える。先程よりは震えも治まったようだが、このまま起きているのは当然よくない。ドンキーは手を貸して、ユウを布団の上に寝かせる。


……あれ?

こいつの目って紫やったと思うんやけど。


「ええから寝とき」

夜更かしでもしてたんやろか。

「……うん」

髪を撫でる優しい手の温もりと心地よさに瞼を閉じて。

ユウはゆっくりと意識を手放した。……
 
 
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