第七章
「……考えないようにしないか?」
フォックスは紺碧に浮かぶ満月を見上げた。
「都合の良いことだけを考えるんだ」
確かに戦いは終わらないけど、今よりずっと緩和されて。
世界はもっと優しくなる。
その頃にはすっかり大きくなったルーティが、立派な戦士になるんだって父の背中を追いかけるんだ。未来は様々な感情と沢山の幸せに満ち溢れて。
「そんなの、有り得ないって思っただろ」
隣で聞いていたラディスはぎくりと、分かりやすく。
「はは。そりゃ当然」
フォックスは少しの間をおいて。
「……信じてみないか?」
心臓が小さく跳ねた。
「遠くない未来。叶えるんだ」
フォックスはラディスと視線を交わす。
「俺たちなら出来るよ」
――なあ、ルーティ。
お前が見ることになる未来は何色に瞬くのかな。
色鮮やかに幸せであってほしい。
そう願いながら。
「……上等」
緩く握った拳を差し出して。二人は互いの拳を軽くぶつけた。