第七章
その刹那、飛び交う疑問符と感嘆符。真っ赤になりながら狼狽えて声も思うように出せずにパニクっているフォックスを目にラディスはぶはっと吹き出す。
「……大袈裟」
可愛い、なんて言ったらリムやナナだっているのにな。
いやそもそも弟みたいだからって理由が付くならゲムヲだって。彼ならラディスを妙に気に入っていつもくっ付いているし。弟、というより息子に近いけど。
「……いつまで続くだろうな」
まさか彼の口からそんな言葉を聞くことになろうとは。
だがそれは、表情に影を差して落ち込んでいるというよりも、此処ではない何処か遠くを見つめているようで。儚げに映る彼の横顔にフォックスは口を閉ざす。
「俺も、皆のことは好きだよ」
ラディスの髪が夜風に吹かれて静かに揺れる。
「……でも」
離れたくないって。
だけどその願いは皮肉にも終わることのない戦いを示す。
いつか戦いが終わるのなら。それは同時に別れを意味することになるのだ。
「らしくないじゃないか」
「さあ。久しぶりの故郷だからかな。本質が引き出されたのかも」
「寂しがり屋?」
「正解」
そう言って、互いに小さく笑う。