第七章



結局、ラディスは帰ってこなかった。

彼だって故郷に戻ったからには何かしたいことがあるのだろう。こうやって、昨日のように遊び呆けてる内に過剰な心配や不安といった要素はそういう考えによって少しずつ緩和されていった。考えたところで明日には必然的に会えるのだ。

「……可愛いよねぇ」

眠そうに、だが母親のルピリアに抱き上げられて手を振って見送るルーティに同じく応えながらカービィはぽつりと呟いた。

「子供ってさ。泣くわ喚くわ我が儘言うわで鬱陶しいもんだと思ってた」
「親の遺伝や躾の表れでしょうね。比較的良い結果、理想の子供の鏡です!」
「お持ち帰りだわ、お持ち帰り! 銀河美少年真っ青の期待値よ!」
「はい、おまわりさーん」

フォックスはルーティが遠く欠伸を洩らすのを見届けて、前に向き直る。

「まだ何もしてないじゃない!」
「する予定があるのかよ!」
「おいそこ夫婦喧嘩すんなー」
「夫婦じゃない!」 

前を歩くメンバーのやり取りを眺めて。それからフォックスは空を見上げる。

いつの間にか橙色の空が何処までも広がって夕暮れを告げていた。遠くにあのレイアーゼが見えたような気がして様々な経験を思い返す。

「フォックス。なに考えてんだ?」

メンバーから外れて声をかけてきたのはファルコだった。

「そんな大した話じゃないさ」

それを聞くと、ファルコはじっと睨んで。

「……まさかまたラディスのことじゃねえだろうな……?」
「ふ、ファルコ? その、目が怖いんだが」
「気のせいじゃねえか……?」
 
 
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