第七章
「だ、大丈夫……?」
マルスやロイが見張ってくれているから落ちる可能性は無いにしろ、そう簡単に不安は拭い去れない。子供って、高い高いとかああいうのしちゃいけないんじゃなかったっけ。いや、これは肩車だからセーフなのか? いやいや。
「おおっルーティ大きくなったなぁ!」
楽しそうに笑うラディスに対し、ルーティはぽかんとしている。
あ、まずい。泣くのか。そういうパターンか。
「降ろした方がいいんじゃ……」
申し訳なさそうにぼそぼそと。お前たちもそう思うよな、とマルスやロイにSOSを込めた視線を送る。――次の瞬間だった。
はむっ。
ぁ、と小さく声が洩れて。背筋に電気が走って、ぞくんぞくん。
何が起こったのか。……簡単な話だ。目の前でぴょこぴょこと動く大きな狐の耳に好奇心を突き動かされたのだろう。肩車していたルーティが、好奇心でぱくっと。
「は、ひ」
……アウト。
「フォックスー!」
そこは駄目なんだってば。
へなへなと力の抜けたフォックスが倒れ込んだのは言うまでもなく。