第七章
ラディスは慌てたように席を立った。
「……どうしたんだ?」
カップを手に、フォックスは怪訝そうに見上げる。
「クレシス」
呼ぶと、壁に背を預けて寄りかかり、腕を組んでさりげなく話を聞いていたクレシスは承諾するように小さく頷いた。「ちょっと出てくる」と、それだけを告げて二人はリビングを後にする。フォックスとファルコは顔を見合わせて。
「どうぞお構いなく」
「あ、じゃあ俺たちも」
ルピリアがにこりと笑いかけると、フォックスは忙しなく立ち上がった。椅子から離れる際、脚に足の小指をぶつけたが気にしない。おいおい、とファルコが呆れたがフォックスは構わず、駆け足でリビングを飛び出し、二人の後を追いかけて。
「……ふふっ」
お兄ちゃんを気にかける弟みたい。
笑みをこぼすルピリアを、ファルコは一度振り返って正面に向き直り、疑問符。
「ぐるぐるぐるー!」
一方、外ではリムがルーティの脇に手を回し、持ち上げてその場で文字通りぐるぐると回っていた。が、暫くすると本人が目を回して回転は次第に緩んでいき、それでもへらへらと笑いながらふらついて。
「ど、どうだ参ったかー、でしゅ……あははー」
きゃっきゃっと無邪気にはしゃいで喜ぶルーティ。ちっとも目を回していないのが驚きだ。リムが倒れそうになったところをすかさずドンキーが後ろから支え、腕の力が緩んだところでルーティをリンクが抱きかかえる。
「うーちゃん貧弱ですねえ。今度はお兄ちゃんたちと遊びましょうか」
「……あう?」
きゅうん。
「可愛いですねぇ本当……」
「持ち帰ったら犯罪やからなお前」