第七章
がさ、と茂みが音を立てて。
家のすぐ外の庭で待機していたマルスとロイは反射的に剣を抜いた。それまで遊んでいたリムやユウといった子供を自分の背中に追いやって、構える。
「……あら?」
しかし現れた相手は拍子抜けする風貌だった。ふんわりと波打つお人形のような金色の繊細な髪が腰まで伸びて、フリルがあしらわれてふわふわと柔らかな印象を与えるツーピースの服を身にまとった細身色白の垂れ目の女性。
続けて。てちてち、てちてちと。小さな生き物が草陰から現れてすぐ、女性の後ろにさっと隠れてしまった。スカートの裾を掴んで……警戒しているようだ。
「ルーティ! スピカ!」
次の瞬間、ぱあっと表情を明るくしてリムが飛び出した。続けてユウが遠慮がちに、視線を少し気にしながら小走りで向かっていく。
「……構えを」
マルスが剣を鞘に納めると、ロイもおとなしくそれに従って。
「ルーティゆうてたな」
「ということは」
ドンキーとリンクは相変わらず遠目に見つめる。
「りうー!」
喋った。
「リムでしゅよ! りーむー!」
「……うー?」
ぱっと両手を挙げて。その子供は満面の笑みで。
「うー!」