第七章
当然のように沈黙が訪れた。
いやいや。そりゃそうだ。あはは、とそんな風に笑ったところでそう簡単に信じてもらえるはずがない。単なる嘘だと思ってさらっと流されるか、もしくは驚きのあまり悲鳴を上げられるか二択……女性はにこりと笑って。
「そう」
ほらやっぱり前者――
「って。んなわけないでしょ!」
かと思えば女性は何処からか取り出したのか、はたまた今まで持っていたのが見えなかっただけなのか、フライパンをぶんと振ってラディスの顔面を強打。
「おぶっ」
「貴方みたいなお馬鹿さんが隊長になれるほど、世間は甘くありません!」
「奥さん。事実です」
一撃ノックダウン。ぐるぐると目を回すラディスの傍らで。
「……えっ?」
フォックスの言葉に女性は目を丸くした。
「ええと。改めまして」
鼻先に絆創膏。ラディスは苦笑いを浮かべる。
「妻のルピリアと申します。先程はごめんなさいね」
リビングは広々としていて掃除は隅々まで行き届いている。それぞれ自由行動で、他のメンバーは別室を探索したり、家のすぐ外の庭で待機したり。
そんな中、並んで座っている夫婦とフォックスは向かい側で話していた。