第七章
――歩けど歩けど、緑が生い茂るばかりだ。
「本当に何もねーところだなここは」
空港はここからそう遠くない位置にあるのだそう。そんなわけで森の中を歩いていた三人だったが、遂にファルコが本音をぽろり。フォックスは慌てて小突き、
「ファルコっ」
「あはは。俺は都会があんなに狭いとは思わなかったよ」
DX部隊入隊の初日、レイアーゼに辿り着いたラディスは立ち並ぶビルを忙しなく見回していた。この広い森の中で暮らしてきたのなら当然かもしれない。今日ばかりは都会慣れしているファルコの方が何処か落ち着かない様子だった。
「熊とか出てくんじゃねーか」
「たまにあるよ」
さらりと答えるのだから、余程慣れているものと窺える。
「おいフォックス。今の内に銃の弾見とけよ。ここでくたばってたまるかっ」
「いい判断じゃないなファルコ。それじゃ敵意を増すだけだ」
「じゃあ黙って喰われてろってのか!」
ラディスはきょとんとした様子で。
「……普通に仲良くすればいいじゃないか」
拳骨。
「同じ質問をしたらクレシスだって同じことを言うと思うぞ……」
「てめえらの価値観は野生か?」
久方ぶりに頭に大きなたんこぶを抱えて。
腕を組んで疑問符を浮かべるラディスにフォックス、苦笑。