第七章
「……あれ」
急いで二階へ駆け上がってみると、ちょうど自分の部屋の前にフォックスと並んでリンクが立っていた。ち、ちょっと待て。だって下、さっき、リンク。
……えっ、と。急いで引き返し確認しようとも思ったが、きょとんとして見つめる二人から目が逸らせない。あれは果たして気のせいだったろうか。頭の中で生じる疑問の回答に靄がかかって少しむず痒いが、ここは諦めることにしよう。
「み、皆は?」
「食堂で待ってますが」
「エントランスホールで待ってるんじゃ、」
そこまで言いかけて、口を閉じる。リンクは小首を傾げたが、
「知らせもないのに先走ってどうするんですか」
……確かにそうだ。
「それで、マスターは?」
「あ、ああ……」
動揺してるな。調子が狂う。ラディスは苦笑いを浮かべて。
「許可は貰ったよ。皆にもそう伝えといてくれ」
「分かりました」
言うと、リンクはすぐにその場を離れて先程ラディスが使用した階段を急いで駆け下りていった。まさか鉢合わせして、大騒ぎになったりしないよな。
「……ラディス?」
振り返って階段を見つめるラディスに、フォックスは不思議そうに声をかける。
「えっ、あ」
何でもありませんよ、と。ラディスは頭の後ろを掻きながら苦笑い。