第七章
嫌みを聞いた後で、リンクはくくっと笑って表情に影をさした。
腹を抱えて笑い声高らかに――ではなく。前髪を乱雑に掴んで掻き上げ、にやりと笑ったその顔を晒す。片方の瞳にはぼんやり赤い光が灯った。
「おいおい。あまり貶してくれるなよ」
似合わない声で、口を開いて。
「――てめえがくれた能力だろぉ?」
刹那、リンクの足下の影がそのまま頭の先まで伸びてきて、体をすっぽりと包み込んだ。かと思えば膨張し、弾けて。中から長身の青年が姿を現す。
誰かが目にすれば悲鳴を上げたことだろう。その正体はダークリンクだった。
「次は中身ももっと上手く化けるんだな」
だがしかしマスターは終始変わらない態度でパソコンと向き合っている。
「……、」
ダークリンクにしてみればつまらない反応だった。
「それで」
はあ、と彼にしては珍しく溜め息をついて歩み寄り、机に身を乗り出す。
「そいつを失うリスクまで背負って、成果は得られたのかよ」
ダークリンクは指をさす。マスターは冷たく目線を上げた。
「その左目だよ。ひ、だ、り、め」