第七章



ラディスはふと、思い出す。

「その左目、まだ治らないのか?」

指摘したのは眼帯がかけられたマスターの左目である。

あの日、ゲムヲを迎え入れてから早二週間が経過しようとしていた。彼とゲムヲが挨拶を交わして正式に入隊した直後、部屋に乗り込んできたマリオがグーパンチ。

……さすがにあれは驚いた。ついて来ていたマルスやカービィ、リンクでさえ硬直してしまう始末。後で鬱憤を晴らす、とは確かに心に決め込んでいたがそこまでする予定はなかったし。マリオは、しない方がおかしいと開き直ってしまったが。

「……ああ。あれのことか」

マスターは眼帯の上から左目に触れて、小さく笑み。

「あれは痛かったな」

そう言われると、止められなくてごめんなさいと謝りたくなる。乗り気に見えて、マスターの勝手が気に食わなかったのだろう。彼はその辺、真面目だし。

「心配か?」
「と、当然に決まって」
「ならば不要とだけ言っておく」

マスターは続けて、

「怒ってなんかいないさ。それに、かっこいいだろう?」

これ、と眼帯をさして。

「……ええと」
「愚問だったな。俺は元からそうだった」

ふ、と笑うマスターを眺めていると。何というか、ナルシスト?
 
 
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