第七章



「ね、二人でどっか行くの?」

カービィはクレシスに後ろから抱きついて、

「もしかしてお泊まりデー、ふぉぶっ!?」

終始表情を変えないまま。肘打ちを繰り出してカービィ撃退。腹を抱えて言葉もなくその場に屈み込むカービィを眺めていると、本当に容赦ないなと感心する。

「単なる帰省だよ、帰省」

クレシスはふんと鼻を鳴らして。

一方でフォックスはゼルダと一緒に放置されたままの皿やコップをお盆に乗せては片付けていた。ラディスはのっそりと頭を起こすと、置かれたグラスの中の氷がカランと音を立てるのを見つめて。水をひと口いただこうと手を伸ばす。

「メヌエル、だっけ? あのど田舎なんちゃって都市」
「もういっぺん言ってみろ」
「緑豊かな落ち着ける街ですねごめんなさい」

ようやく痛みが引いてきた頃、微かに震えながら振り返って憎まれ口を叩くカービィを、クレシスは軽く蹴って踏みつける。抵抗する術もなく、カービィ、訂正。

「大丈夫かよ。今頃埃まみれじゃねーの」
「それはない」 

からかったつもりはなかったが。ロイが言うと、ラディスとクレシスは珍しく口を揃えた。つまり、その返しは掃除してくれる誰かがいるということになるが。

「両親が一緒に暮らしてるのか?」
「はは、まさか」

ファルコは疑問符を浮かべて。

「妻と息子の二人だけだよ」
 
 
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