第七章
◆第七章『パートナー』
「……そうか」
マスターのキーボードを打つ手がぴたりと止まった。
す、と視線を上げて対象者を見つめる。その男の意志は揺らがない。目を逸らさずに真っ直ぐ見つめ返して。マスターからは思わず笑みがこぼれた。
「いいだろう。好きにしろ」
このDX部隊に入って約半年。いい加減、覚悟を決めた。
俺だって男だ。言えなくてどうする。
――ここを出るんだって。
「……、」
しかし廊下を歩いていた男は不意に立ち止まった。迷いが生じたのだ。
今ならまだ、今なら、と心臓が胸を叩く。罪悪感に似た何かが、ぐるぐると頭の中を駆け巡っていた。ゆっくりと吐いた息の中に、一緒になって吐き出されたらどんなに楽だろうかと意味もなく思う。こういう面は自分の悪い癖だ。
……考えれば考えるほど、重くなる。
「どうしたんだ」
その時、近くの部屋から出てきた一人の男が気付いて声をかけてきた。
自分は辛気臭い顔をしていたと思う。はは、と笑ってみせたがさすがにそれだけでは誤魔化せなかった。その表情では読み取れない。男は接近する。
「上手くいかなかったのか?」