第六章
直後、それまで閉じていた瞼がゆっくりと開いた。視界がぼんやりとするのだろう、ラディスが膝を付いて抱き起こしても尚、ゲムヲはぼうっとしていて。
「ごめん、助けるのが遅くなって……」
不安だっただろうな、きっと。
申し訳なさそうに表情に影を落とす。いや、それでも何とか彼との約束を果たすことが出来た。終わり良ければ、という言葉もある……ならばこれは結果的に、いわゆるハッピーエンドなのではないか。それにしては手荒過ぎたが。
「……おわり?」
「まあ、ちょっと張り切りすぎちゃったけど」
「おはよございます」
ラディスは苦笑いを浮かべる。
「……おはよ」
「あっ!」
ようやく覚醒したのだろう、ゲムヲは惨状に気付いて声を上げた。
「みんなが倒れてる!」
「え、うん。やっつけたからね」
「だめっ!」
ぴしゃり。
「寝てるいい言うから寝てたの! いいひと! 悪くない!」
あ、あれ? 怒られてる?
「ううっ……」
その時、倒れていたドクドクロの内の一人が頭を抱えて上体を起こした。ぼうっと辺りを見回した後、近くにいたラディスに注目して。
「……誰?」
「えっ」
ラディスは頭に触れてみる。そしてようやく気付いた。
アイガード付きヘッドフォンがない――!?