第六章



この向きでは――

「まずい、止め」

気付いた時には時既に遅し。

間もなく、大砲の口から火炎は勢いよく放たれた。それまでにせめて大砲の口を敵側に向けられたらと五人は大砲に触れていたが、間に合わなかったのだ。

その結果――

「ぎゃああああっ!?」

火炎は一度地面に突撃し、爆発を起こして大砲は黒煙に包まれた。

が、次の瞬間それは飛び出した。引き続き火炎を途切れることなく噴出しながら、勢いに乗せて大砲と――それに掴まるようにして、五人のヒーローが。

「っな」

さすがのクロガネもこの表情。

「なんじゃありゃあ!?」

離す、という選択肢はなかった。

火炎が噴出するその勢いで大砲は地面から数センチ離れて飛んでいたし、となれば手を離すと地面を転がり、下手すれば火炎の餌食になるのは目に見えていた。

だがこの場合、離すのも離さないのも同じくらい――馬鹿。

「ばばばばばっ馬鹿、早くどうにかしろぉぉぉ!」

まあ、恥を晒すことになるのは断然前者の選択だが。

「あははすっごーい。頭もげそう……」
「カービィ! 気をしっかり!」

飛ぶことには慣れてそうなものだが、さすがにこれはアウトだったか。カービィが白目を剥いてぼそぼそと呟くので向かいのマルスは慌てて。
 
 
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