第六章
――正義、とは何だっただろう。
誰かの為になればそれで。そう思って、今まで戦ってきた。
「ラディス……」
任務を果たした末の理不尽な結果。
救えない命もあった。
それでもそれは正義だと。謳われて、称えられて。
――本当に、正しかった?
「あれだって正義が悪を絶とうとしている瞬間に過ぎないのかもしれません」
それが彼らの望んだ結果だというのなら。
「俺たちが横槍を入れてしまったら、それこそ悪なのではないでしょうか」
こうして目を見張ることが正義となり得るのなら。
「……違う」
ラディスは小さく口を動かした。
「正義の対は悪じゃない」
ゆっくりと顔を上げて。
「本当に、悪があるのだとすれば」
ラディスの眼孔が、鋭く変わる。
「――それは人の心だ!」