第六章
「ほら、あれ」
ラディスとカービィが同じように屈み込むと念のため人差し指を立てて、それから目を見張らせていた光景を指でさした。……そこに見えたのは。
「っ……!」
バーナード氏!?
彼の周りにはドクドクロもいる。ざっと見渡して十人かその程度か。普通に会話している辺り、人質にされたとかそういった様子は窺えない。そしてそこには当然、あの時一緒になって車に乗り込んだクロガネもいた。
暫く眺めているとそれまで屈み込んでいたクロガネは立ち上がり、その場を退いてバーナード氏の元へ――直後、ラディスははっと目を開く。
なんとそこにはゲムヲが、地面に横たわるようにして捕らえられていたのだ。
「いよいよクライマックスって感じですね」
「なに言ってんの。最初からクライマックスでしょ」
ゲムヲは、どうやら目隠しをされているようだ。両手を後ろに回された上で縛られており、先程からぴくりとも動かない。気絶させられているのだろうか。
「無事だったみたいだね」
「どうでしょうか」
ほんの少し、安心したのも束の間。
「罠かもしれませんよ」
本当、彼だけは嫌なところを突いてくる。
最後に戦ったドクドクロの発言が気掛かりなのだろう。罠、だとすれば此方が助け出した瞬間反撃を食らうという可能性が最も高い。
そう考えると本当に、此方の動きは何もかも見透かされているというわけだ。