第六章
ほんと、呆れちゃうな。
「約束したから?」
「それもある。……けど」
カービィは怪訝そうに見つめる。
「選びたくないんだ。誰がどうだから助けるに値しないとか、そんな風に身勝手な価値を付けて。そんなのはおかしいじゃないか」
ぐ、と握った拳に力がこもる。
「誰より戦えるのが戦士なのに。戦わないことを選ぶのはおかしいじゃないか」
小さく溜め息が聞こえた。見つめるカービィは呆れたような顔で。
「別に戦うことだけが義務じゃないっしょ。逃げる権利だってあると思うけど」
「それなら俺は、その人の手を引いて逃げるよ」
ほら、この人はこういう人だから。
真面目くさった顔との睨めっこもそろそろ限界で、カービィはそれでも失礼なことをしてはいけないと少しだけ顔を逸らし、小さく吹き出した。
「え、あっ俺なんか変なこと」
「いや――」
「おーいそこのバカ二人!」
振り返ると、マリオがこっちに来いと手招いていて。
「何? 新種のキノコでも見つけてついテンション上がっちゃった?」
「そうそう見てくれよあれ凄く大きいですって下ネタかばかたれ」
「自分で言ってんじゃん」
いいから早くしろ、とマリオは声を潜めた。見れば三人は瓦礫の前に屈み込んで、何かを見張っているらしい。ラディスとカービィは顔を見合わせる。