第六章



マリオはその場に跪いた。

「炎帝の竜よ! 唸れ!」

前方で構えるドクドクロを指差して狙いを定め、そして叫ぶ。

「ドラゴンフレイム!」

赤い光がほとばしり、腕を這って人差し指の先に丸い光の球体を作り出す。それは途端に膨張して魔方陣を象ると、そこから一本の炎の柱が放たれた。

炎の柱はうねるような動きを見せたかと思うと次の瞬間には竜の姿に変わって。

「ぐあぁああーッ!」


さて、五戦目もあっという間に決着がついた。

マリオが短く息を吐き出して立ち上がると、倒れたドクドクロの内の一人、ううっと小さく唸って。加減はしているのだから動けて当然なわけだが。

「くく……さすがはバトレンジャー……」

ようやく口を開いたかと思えば。

「いい加減答えてくれる? あんた達の目的」
「この先に……クロガネ様がいる……」

ドクドクロが立ち塞がっていた道の先――ラディスははっとする。

「まさかっ」
「あの化け物の力は強大だ。そいつを利用すれば世界征服も容易い」

ラディスは眉を顰め、駆け出した。

「ばっ、一人で勝手に行くなって!」

遅れて後を追いかける四人を、ドクドクロは怪しい笑みを浮かべて見つめる。

「計画通り……」

悪い顔。

「勝手に設定作っていいのかよ」
「最後くらいいいだろ別に」

仲間の一人に言われて、はあと溜め息。

「……噂の特殊防衛部隊様とやら。お手並み拝見といきますか」
 
 
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