第六章
「ここから先は鼠一匹通さん!」
「というわけでイエローさん留守番よろしくー」
「おぉい!?」
ここに来てオンパレードか。一体何が始まろうというのだろう。
次に現れたのは……またしても。いつだったかヒーローショーでも戦いを演じた、小太りで大柄、刀を二本も構えた中ボスポジションのドクドクロである。
「そうじゃないだろ!」
何故か息ぴったりなラディスとドクドクロ。
「……つまり、ここを意地で突破しろと」
「そういうことだ。話が早いなバトレンジャー」
はあ、と溜め息を吐いてマルス。
「……倒して?」
「ください」
「悪役の主導権握っちゃったよ」
マルスはふっと笑みをこぼして前に出た。どうやら、今度は彼がドクドクロの相手をするらしい。といってもスーツのベルトに備え付けられた鞘に納められた剣は当然のことながら偽物である。まさか本気で斬ろうというつもりはないだろうが。
「一閃……」
おもむろに柄を掴んで、さっと剣を引き抜けば刀身が閃いた。
刹那、駆け出したマルスがあまりにも速すぎて動きを読みきれず。硬直するドクドクロの目の前、現れたマルスは冷気に似たオーラを放ちながら斬りかかる。
「紺碧を駆ける流星が如く。疾風、君が最期までその剣に見惚れることはない」
通算、百の斬撃。
ドクドクロの後ろへ抜けて、マルスは最後。静かに、その剣を鞘に納める。
「アンダースラッシュ」
遅れて、ドクドクロは声を上げた。
「ぐおおぉおーッ!」
マルスは短く息を吐いて地面に倒れ込むドクドクロを振り返る。
「お、俺よりかっこいい……」
「ただのチャンバラだけどねぇー」