第六章



「もういいや倒してください! 出来ればかっこいい必殺技で!」
「懇願しちゃったよ」

どうしようか、と五人は顔を見合わせる。

「……そっちにその気がないってなら」

下っ端の一人はにやりと笑って。

「その気にさせてやるまで!」

そう言って駆け出したのだ。地面にたまたま転がっていた鉄パイプを手に、迫ってくる。加えて彼を引き金に他の下っ端も此方へ向かってきた。ええと、見たところ悪気はないというか何か事情が絡んでるみたいだし。……かっこいい必殺技かあ。

「戦場を駆けろ! 轟け雷撃!」

ラディスは唐突にそう叫んで構えをとる。右手を突き出して、

「サンダービースト!」

刹那、青い稲妻が右腕を伝い、手のひらから放出された。それは大きな電気の塊と化すと二つに分かれて。それぞれが、電気を帯びた獣の姿を象って駆け出す。

「ぐああぁあーッ!」

まるで獲物に食らいつくように。

突撃を許した下っ端は次々と声を上げて、力なく地に伏せていく。

「や、やられ、た……」

そう台詞を残して、がっくり。

「そういえばありましたね、そんな技」
「好きなタイミングで使えっつってもなあ。すっかり忘れてた」

頭の後ろを掻きながら、マリオ。

「お、お大事に……」

こっそり身を気遣いながら。ラディスたちは次なるステージへ――
 
 
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