第六章
「俺は反対ですね」
ラディスはぱっとそう言ったリンクに注目する。
「……僕も反対かな」
続けて、マルス。
「彼は言葉の全てを理解しているわけじゃない。況してや口に出してもいない事柄を推測だけでそう信じ込んでDX部隊に引き入れようなんて、正直言って正気の沙汰じゃないと思うよラディス。……それに、彼は少々無知が過ぎる」
腕を組んで語るマルスに、僅かばかり眉を寄せてラディスは視線を落とす。
「純真無垢であるということは悪にも正義にも転ぶ可能性があるんだ。部隊に入って万が一他の悪に魅入られた時、被害を受けることになるのは誰だと思う」
ひと呼吸置いて、彼の言葉が突き刺さる。
「君はそれを庇いきれるかい」
驚いた。ここにいる誰よりも事情に詳しいはずの彼が、反対派だったとは。
しかし彼の意見はあまりにも的を射ていた。事情に詳しいからこそ、恐らくはこの中の誰よりも頭の回る彼だからこそ、反対を選んだのだろう。
「そういう理屈なら俺も反対だな」
「えー面白そうじゃん。僕は賛成かなー」
ここで意見はようやく分かれる。カービィはふふんと笑って口を開いた。
「いつ裏切られるかどうかなんて今更っしょ。僕たち、子供でも大人でも殺しを認められた特別な戦士だよ? 情け容赦無いのは敵も味方も一緒。誰かに殺される可能性なんてそんなの僕たちの日常には呆れるほど溢れてる」
マルスは目を細めて。
「そいつを引き入れたところであんま変わんないんじゃない?」
「今までとこれからが同じとは限らない。可能性は絶つ」
「相変わらずクールだよねぇ、そういうとこ」